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この時期から新たに織田領となった、南近江、大和、和泉、河内、摂津、丹波、丹後では景気が上向きに転じ少しづつではあるが、藤沢家の蔵に銭が戻りつつあった。
織田家中の者たちも努力が報われ多少なりともその恩恵を与る。
懐が温かくなると、財布の紐が緩くなるのが、人の性と言う物で、その恩恵は一気に藤徳屋、藤工へと流れて来るのであった。
この時期、匠は信長の娘「香」を嫁に貰う。
香は岐阜城で信長の正室帰蝶が産んだ娘である。
故にまだ幼い…
信長は同時に側室をと言うのを匠は断った。
香は幼いながらも、流石は信長と帰蝶の方の血を引く娘で頭も良く美しい娘であった。
匠は香に毎日必ず時間を割いて香が教えて欲しいとせがんでいる刺繍や裁縫を教える。
匠が信長夫婦に贈った、あの着物を見て育った香にとって匠はその作者で憧れの存在である。
二人は夫婦と言うより師弟のような関係で過ごしている。
日中は必ず匠の近くにいて何彼と世話をする香
世話をと言うより、匠がどんな話をするのか、どんな人物に会うのか…まるで匠の秘書のような認識でいるような立ち振舞いをする。
匠は好きなようにさせている。
幼いなりに匠の為に何かをしたいと言う気持ちが嬉しいからである。
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