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そんなある日、匠は明智光秀を呼んだ。
「お呼びと伺い…」
「明智殿、長らくの与力御苦労にござった!明日より信長様直属の配下にて仕えるようにとの事でござる!」
「は?それは誠にござるか?」
「明智殿の働きを知り信長様直々のお指図にござれば」
「有り難き…有り難き幸せ!」
信長が光秀の働きなど知るよしもない事など、光秀自身良く解っている。一重に匠が推挙してくれた結果であると解っているのだ。
正直…この三年、光秀がしてきた働きは匠の影働きの手伝いに過ぎない…
だが、光秀はその働きに一種の遣り甲斐を感じていた。
匠の発する指示が実際に織田家の政策を動かしていると言う事実…
政に関心がある者にとって、これ程痛快な物はないだろう!
しかも、「権力」に依ってではなく、「信頼」で動くのだ!
誰もが、一介の部将格の匠の言を信用し匠の指図に信頼をおき、匠の梃子入れを得て事にあたるのである。
匠の卓越した指示や指図…
それを目の当たりにする事が出来る立場であった光秀はいつしか…
匠の才に憧れ、感動すら覚えていた。
まさに「神算」である。
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