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もう少しで北近江を抜けて越前に差し掛かると言う所で…
北近江の浅井家に嫁いだ妹のお市の方からの差し入れと両端が縛られた小豆の袋が届けられた…
「信長様…これは…」
「なんじゃ!」
「我らは小豆…両端の紐は浅井、朝倉では…」
「たわけっ!長政はわしの妹婿ぞっ!」
「しかし…婚姻の条件を破ろうとしているのは当家…」
「長政はわしが見込んだ男…時世の見えぬ男ではないわ…」
そこに伝令が走り込む!
「申し上げます!越前には既に朝倉方が待ち伏せている模様!」
「何っ!?」
「申し上げます!」
伝令がもう一人駆け込んで来た…
「後方より…浅井勢およそ一万…北上中でございます!」
「くっ…最早これまでか…」
「信長様!ここは落ちるべきかと…」
「わしに…逃げよと申すかぁ!」
「信長様さえ生きていれば!岐阜には藤沢殿も居られます!」
「…殿は誰が致す……」
「信長様!殿の役目!是非とも拙者に!!」
「猿!よう言うた!任せた!」
「有り難き幸せっ!」
「徳川殿、このような形になってしまった…申し訳ない!」
信長は家康に頭を下げると、素早く馬に乗る。
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