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「おい!新入り!おぬしは向こうの方を片付けてくれっ!」
「へい…」
服部半蔵は姿を変え雑用の人足として藤工で働く。
コンコンッ!シャッシャッ!
一定のリズムを刻みながら槌とのみを使い何やら彫っている人物が居るが…半蔵は回りのおが屑を箒で集め塵取りで掬う。
「大棟梁!松の木はどのように?」
「あぁ!それは湖の柱に使うから!皮だけ剥いておいてくれ」
「合点でやす!」
次々に指図を聞きにくる職人たち…
どうやら…この者が藤工の頭のようだ…
半蔵はその者の顔をちらりと見た…
嬉々としてのみを使う人物…だが…頭としては幾分若く見える…
「旦那!言われた物は粗方揃いましてごぜーます」
「そうか!御苦労だったな!甚八」
「北近江の仮住まいの方もじきに出来上がるみたいですぜ!」
「うむ!仮住まいが出来たら、荷を運び出してくれ!」
「しかし…面白い城になりそうで!今からわくわくしますぜ!」
「ちと…欲張り過ぎたかも知れぬがの?」
「違えねぇや!」
「おい!そこの者!」
「へい…あっしでございますか?」
「見ぬ顔だの?新入りさんか?」
「へい…」
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