1183人が本棚に入れています
本棚に追加
/321ページ
「ちと、此方に来てくれ」
「へい…」
梱包してある物を差し出される半蔵
「ちとこれを届けて欲しいのだが、頼めるか?」
「へい…」
「場所は遠州浜松城」
「!」
「甚八、この者に路銀を」
「承知しやした」
「家康殿に宜しくな!」
そう言って立ち去ろうとするのは、勿論藤沢匠である。
「…お待ちくだされ…」
「ん?」
「あなた様は…」
「織田家部将格筆頭、藤沢匠だ!調べる者の顔位は事前に知っておくべきだと思うぞ?服部殿」
「……」
「警戒せずとも、何にもしないわ!わしは平和を重んじるのでの」
「…」
「家康殿に伝えておいてくれ、要らぬ詮索は誤解を招く場合があると…それにわしと徳川の嫡子殿は織田方から見れば義兄弟、何時でも遠慮のう遊びに来てくだされとの?」
笑顔で言う匠を見て…戦慄する半蔵
「それと…虎が動き出したら何時でも声を掛けて下されと伝えてくれ!」
「…承りました……」
「では気を付けて戻られるが良い!わしは暫くは北近江に居るから!」
「はい…」
匠が差し出した梱包された物は荷車に乗せられ数人の者が回りに居た…
全て…半蔵が潜り込ませた半蔵の手下たちであった…
最初のコメントを投稿しよう!