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匠が正式に北近江、越前、そして若狭を信長から賜り現地に向かった頃…半蔵は浜松城の家康の元に居た。
「うむ…おぬしを持ってしても調べる事は叶わんとは…」
「申し訳なく…」
「して…それが、藤沢匠なる者がおぬしに持たせた物か?」
「御意…」
「開けてみよ」
「はっ!」
梱包をほどく半蔵
中からは欄間の飾り彫りの板が出てきた…
「うむ…これは…猫か…眠っているように見えるが…」
「殿…後ろの猫は違いますようで…」
そう言って裏を見せる半蔵
「目の前に出た鼠を襲うような構えの猫…か…」
「これは…猿…目を隠し耳をふさぎ、口をおさえており申す…」
「裏を見せよ…」
裏には遠くを見ようとてをかざし、良く聴こえるようにと耳の後ろに手を当て、大声をあげようと口の回りに手を添える猿…
「それにしても…見事な細工じゃ…」
欄間の見事さに唸る家康
「恐らく…藤沢殿自らの手による物かと…存じます」
「それは誠かっ!」
「はっ!あの藤工の者たちが、大棟梁と呼んでおりました故…余程の腕の持ち主かと拝察致しました」
「うむ…藤沢匠…益々気になるのぉ…」
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