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「そうして稼いだ銭で店を大きくしていくのだ!」
「そのような事が出来ましょうか…?」
「良いか?徳兵衛殿、そこそこの銭ならば百姓も持っていても良いが、余りに多くの銭を貯えさせてしまうと…そこに賊が目を付ける!」
「!!!」
「なので集落の者には投機を薦めるのだ!」
「投機…でござるか?」
「そうだ!集落の者皆で商家を興すのだ!さすれば、いざ凶作になった時にその利益で食料も買えよう?家に銭を貯えておいて年貢代わりに召し上げられたら泣きっ面に蜂だぞ?」
「確かに…」
「余分な銭は商家に預け商家はその銭で商売をする…その内にこの集落も人が集まり大きくなろう!これだけ豊かなのだから!その者たちも長たる徳兵衛殿は面倒みなければならぬだろ?」
「なるほど…しかし…この集落に商才がある者など…」
「徳兵衛殿の次男の松吉殿はどうだ?」
「あやつでございますか!?」
「優しい顔をしておるが、性根が座っておるとわしは見たが?」
「あやつは頑固者でございますよ?」
「松吉殿は頑固者だが人の話を聞く耳がある!小作人の利平さんをつけてやれば良い組合せだと思うが?」
「利平めでございますか?」
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