手紙公方と甲斐の虎

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「どうする…匠…甲斐の虎が動き出した…」 岐阜に戻った信長は藤沢匠を呼び出しての一言… 「先ずはどうなさるのか…ご指示を!拙者はそれに添う様動く所存にございますれば…」 「で…あるな…」 「要は二択にござる…戦うか従うか…」 「従う訳がなかろう!だが…正直甲斐の虎が恐ろしい…」 「武田が上洛を決意したのです!つまりは織田を討伐する決意を!腹を決めなされ!」 「うむ!いつまでも武田の虎を恐れていては何も為さない!匠よ!甲斐の虎を討ち取る!」 「承りました!では、拙者は直ぐに遠州に赴きます!信長様は、美濃口をお守り下され!」 「待て!」 「なんでございましょう?」 「美濃口は他に守らせる!わしも遠州に向かう」 「畏まりました…ならば信忠様に美濃口の守将に任じて下され」 「うむ!それが良かろう!」 「では、拙者は段取りに走ります!」 「うむ!頼むぞ!匠」 「ははっ!」 こうして…甲斐の虎、武田信玄との開戦を決めた織田家であった。 信長は直ぐに各地に伝令を走らせる。 丹波丹後の安藤家、稲葉家には背後の将軍家への警戒を 播州は有馬辺りまで出張っていた羽柴秀吉には毛利への警戒を 大和の丹羽長秀には河内まで出張らせ四国の三好家への警戒を 南近江の信忠は岐阜城に入り武田家への警戒… 越中の柴田勝家には上杉家への警戒を命じたのであった。
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