手紙公方と甲斐の虎

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匠はその後、龍興と正信を残らせた。 浅井長政と朝倉義景は馬をとばして越前、北近江に戻っていく。 竹中半兵衛は諜報隊を率いて東に消えた。 山内一豊は若衆に指示をしながら出陣の準備を始めるのであった。 「龍興、おぬしは信忠様が岐阜城に着任したら直ぐに会いにいき、この文を渡してくれ!」 「お任せ下され!」 「おぬしはそのまま信忠に着いて色々と補佐を」 「はっ!」 「正信は先に美濃口に伏兵し待機し、半兵衛と連携出来るようにしつつ、龍興とも連絡を密に」 「御意の通りに」 「正信!心配するな!必ず徳川殿はわしが守る!」 「…どうぞよしなに…」 その後、匠は岐阜城に登り信長に出陣の報告をする。 「流石は匠だ!仕度が早いのぉ!先に向かい家康を安心させてやってくれ!わしも兵が整い次第追い掛ける!」 「はっ!」 翌日早く、藤沢軍は小牧から出陣し尾張を抜けて三河に入る。 三河では岡崎城を与る徳川信康の出迎え受けたが、匠は半刻程休憩を取りすぐに出立した。 信康は、匠を出迎えその労を労おうとささやかな宴を用意していたが…それを断られて不満顔で匠を見送るのであった。
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