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「利平さんは愛嬌者だし良く気が利く!立ち回り方も巧いしの?」
「あの者は多少…要領が良すぎますが…」
「故に松吉殿が重石になり丁度良いと思わんか?」
「なるほど…確かにあの二人は馬が合うようですし…」
「そして…正直百姓には向いてない」
笑いながら言う匠
「…それが私には悩みの種でございまして…」
「故にあの歳でまだ分家させないのであろう?」
「…お見通しで…ございましたか…?」
「それも踏まえてわしなりに考えてみたのだがの?」
「我が家の事をそこまで考えてくださいますとは…」
「泣くな!徳兵衛殿!清須に店を出させるのは、わしも思惑があっての事だ!」
「思惑…でございますか?」
「あと一年したら、わしは織田家に仕官しようと思うておる!その足掛かりに清須の商家を使いたいと思うておるのだ!」
「あと一年…でございますか…」
「田植えが終わったら清須に店を出してそこを拠点に色々と動きたいと思うておる!」
「では…もうじきここを離れなさるので…?」
「あぁ!長々と居候を続けてしもうたが、尻に根が生えても困るでの?」
「長々と…などと…私は出来ればずっとこの地に居ていただきたいと…」
「徳兵衛殿、わしは一応武士だからの?」
徳兵衛をみて微笑む匠
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