手紙公方と甲斐の虎

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織田軍は、岡崎城主で徳川家の嫡男、徳川信康が戦仕度を整えるのを待ち準備が出来ると直ぐに出立した。 三河衆を従え甲冑姿で馬に乗る信康は何処か不満顔であるが、妻の父であり、父家康が恭順の意を示した信長に反抗する事も文句を言う事も出来ないまま軍は粛々と遠州に向かって進んでいくのであった。 信長はわざと自身の側にに信康を置きその行動を監視する。 そんな時に信長の元に、藤沢匠からの伝令がやって来た。 「主、藤沢匠からの文にございます」 差し出された手紙を読み始める信長… 手紙を読み終え、にやりと笑う信長 「匠に伝えよ!万事任せよとなっ!」 「ははっ!」 信長は全軍を止め三河衆の主な者を集めて何やら指示を出し軍勢に休息を指示、 やがて夜が明けて暫くすると準備が出来たと三河衆からの連絡があり信長は進軍を開始した。 遠州手前で軍を止めて夜の帳が落ちるのを待ち遠州に入りそこに陣を作るよう指示を出す織田信長! 街道を塞ぐように陣を構え馬防柵を作り始めた! 陣が出来次第、信長は見張りを立て、他の者はゆっくりと休むよう指示を出す。 信長も甲冑を外し直ぐに寝所に入ってしまったのである。 もう少し行けば浜松城なのに…なぜ野営などせねばならぬのかと不満に思う信康だが… その愚痴に答える者は誰も居ない…
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