手紙公方と甲斐の虎

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そして朝がやって来た… 武田軍は三方ヶ原から街道に出て西に向かい行軍… 逐一、その動きが浜松城の家康の元に届けられる! 家康は匠の言を信じ籠城の構え… ところが… 武田軍は浜松城をかすめるような動きを見せ… 西に向かって…通りすぎていくと言う… 家康はその報告を聞くなり、すくりと立ち上がりった… 目の前が赤く染まる… この感情は… 怒り!! 「出合え!直ぐに出陣じゃあっ!!」 【怒髪天を突く!】 まるで仁王のような顔で家臣たちを睨むように叫ぶ家康! 「御待ちくだされっ!今動いては、武田の思うつぼかと!」 「えぇいっ!黙れっ!わしは置物の国主ではないわっ!」 存在を無視され、「どうせ、おぬしは何も出来ずに城で震えておるだけよ!」 そう言われたと感じた家康は我を見失う程に怒っていた! 「藤沢様の言をお忘れでござるかっ!」 酒井忠次が家康の前に進み出て叫ぶ 「忠次っ!何時からおぬしは藤沢殿の家臣となったのだっ!」 「殿っ!」 「黙れっ!これほどの屈辱を与えられっ!黙って見過ごせと言うのかっ!わしは一人でもっ!出るっ!」 「そこまで言われるならば!我らも一矢むくいとうござるっ!」 徳川の槍、本多平八郎忠勝が立ち上がる! 「よう言うたっ!平八郎!」 「失礼致す!」 「おぬしは…」
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