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信雄をそのまま伊勢に居させては何かと面倒になろうと信長は、四国の討伐で手柄を立てさせ国替えを目論んだのだった。
信雄が信忠や信孝と折り合いが悪いのは、信長が信雄には大きな仕事を与えないからだとも信長は考えたのだった。
本当は匠を付けたかったが…他の武将にも手柄の機会を与えなければならないと言う事もあり…信長は丹羽氏などを補佐に付けたのであった。
それもこれも…骨肉の争いにて勝ち抜いて来た信長だからこその思いに繋がる…
肉親を殺して良い事など何もないのだ…
信長は天守閣から、落ちていく夕日を見つめ…
弟の信行を思い出すのであった…
その頃、匠はと言うと、銭をかき集め鋳造し直して新たな貨幣を鋳造する事業に取り組んでいた。
一文銭だけだった銭を、一文銭、五文銭、十文銭、五十文銭、百文銭と新たな銭を生産していた。
近々、信長の許しを得て朝廷の御墨付きを貰う予定である。
金の小判と銭、銀に手を付けないのは理由がある。
銀の価値を落とす為である。
東の金、西の銀、と言われているように西国では銀の価値が高いのだ!
特に毛利家では石見銀山を抱えており、銀の暴落は国庫に響いてくるのである。
現に堺辺りでは銀の価値が暴落し始めているのだ!
更に言えば、金と銀の価値が同じと考えている日の本に諸外国の貿易に携わる者がそこに目を付け、銀を日本に運び金に替えてぼろ儲けしたと言う事もあったのを匠は思い出したのであった。
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