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匠は手早く火を起こし予め作っておいた肉じゃがを温め、大根の葉の味噌汁を温める。
飯は握り飯をたくさん作っておいたので、それを皆に配る。
集落で作った大きな器に肉じゃがを盛り付け大工たちの前に置く
お椀に味噌汁を入れていると若衆がそれを皆に配り始める。
「おう!皆の衆、遠慮はいらん!温かい内に食ってくれ!」
「「「へいっ!」」」
白い米の握り飯だけでもご馳走なのに…おかずや味噌汁までついている…
大工たちは握り飯にかじりつき、味噌汁を啜る
「「「!!!」」」
「どうだ?旨いか!」
「「「うまっ!」」」
「旦那!この芋みてぇなのはなんでございます?」
「それは芋だ!」
「おらぁ…こんな芋初めて食った!」
「この具は…トロッとしててすげぇ旨い!」
「それは猪の肉だ!」
「こんな…すげぇご馳走…を…」
「なぁに!その分仕事で返してくれたらそれで良い!」
「やい!おめぇら!昼まで怠けていた分、飯を食ったら取り戻すぞ!」
「怠けていたのは親方と小吉だけでさぁ」
「そうですぜ!親方」
「…くっ…」
棟梁の悔しげな顔をみて、皆が笑い出す。
「あははは!」
「やい!小吉!てめぇまで笑うたぁ!どういう了見だぁ!」
「あ…面目ねぇ!」
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