匠の寄り道

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「寛いで頂けておりますか?」 真田昌幸が匠の前にやって来て、そう尋ねる。 「良い風呂を使わせて頂きました」 「風呂だけは拙者の唯一の道楽故…」 少し照れたように話す昌幸 「しかし、先代の悲願のこの庄に城を築くとは、良い孝行を致しましたな!」 「藤沢様はそれを知って…おられたのですか!?」 「知らねば推せぬでござるよ真田殿」 「で…ございますな…」 「次代の若者も良く育っておる!真田家は安泰でござりますな!」 匠は車座の方に目をやり言う 「ややっ!あやつら…接待を忘れ…何をしておるのだ…」 「いやいや、自らの意見を持つ良い兄弟ではござらぬか!」 「お恥ずかしい限りでござる…」 「これからの時代、我らのような謀略を用いる事は無くなり、あのように正論を戦わす時代となりましょう!誠に時代に合った良き次代でござる」 「そうあって貰いたいものでござるな…」 「簡単にはさせぬつもりでござるがの!」 笑いながら言う匠の顔を見る昌幸 何かを感じ取りにやりと笑った。 「簡単に行っては…ひ弱に育ってしまう…」 「わしは麦の育て方でやろうと思っておっての?」 「なるほど…それが宜しいかと!」
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