匠の寄り道

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「なので、わしは奥州を選んだのでござるよ」 「次代の為にでござるか?」 「苦労させるにはそれが良いと思いましてな?」 「既に在るものには中々有り難みを感じぬものでござる」 「ならば、当家の麦も苦労させては頂けませぬか?」 「あの兄弟をでござるか?」 「優秀な倅を持つと…拙者もそれに甘えてしまいますもので…」 「そう言われたらわしも断れぬ…流石は真田殿、一本取られましたわ!」 「当家は大樹に巻き付く蔓のような物にて…巻き付く大樹が無ければ…」 「やがて大樹を網羅すると?」 「共存共栄が望ましいと存ずる」 「ならば今は頼られましょうか!」 「よしなに願いまする」 生き方こそ違えど、分かり合える二人 この何気ない会話が、二人の結び付きを強くしたのであった。 その日は真田家に宿をして次の朝、一行は旅路についた。 新たに加わりし真田兄弟を連れて!
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