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越後では柴田勝家と会い、匠は冷害に強い作物などの種を勝家に譲り、その育て方を伝える。
「匠にはいつも助けて貰ってばかりだのぉー」
「何を言われます柴田様、柴田様にはいつも力添えを賜ったからこそ、今の当家が在りますのですぞ!」
「おぬし…知っておったのか!?」
柴田勝家は匠の優秀さにいち早く気付き何かにつけて他の重臣たちの嫉妬などから守っていたのであった。
いくら、匠が優秀でも人のやっかみや嫉妬はそう回避出来る物ではないのである。
「それに、築城の折りには信長様ともっこを担いでまでして頂いたご恩忘れる事など出来ましょうや」
「そんな事もあったな…随分と昔に感じるわ…」
「まだ老け込み歳ではござらんですぞ!柴田様」
「そうは言うても…の…」
「掛かれ柴田の勢いはどうなさりましたか?あの勢いで国作りに当たって下され!」
「わしは政が苦手じゃ…」
「戦乱の世に、得意な敵など居ましたのでござるか?」
「…うむ…そう言われれば…」
「皆、海千山千!」
「そうであったわ!」
「柴田様在っての藤沢匠と言う事をお忘れなきよう!」
「相も変わらず人を乗せるのが上手いのぉー」
柴田勝家の目に光が戻る。
十日程、越後に滞在して柴田勝家の為に農業などの指導をしながら北東に進む。
羽州との国境で柴田勝家と別れ、匠らは羽州をのんびりと北上したのであった。
奥州に入り八戸を目指す。
八戸には、藤沢家の家宰の斎藤龍興が奥陸奥の経営に当たっている。
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