開拓の時

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「殿、随分とのんびりとなされましたなぁ」 「龍興よ!留守中ご苦労であったな!」 「はっ!」 「何か問題はあるか?」 「只今、郡の役所を手分けして建築中でござる。」 「治安の方はどうじゃ?」 「民心を得る為に藤倉殿が動いておりますれば心配はないかと」 「港の整備は?」 「浅井殿が先頭に立ち進めておりまする」 「主城の方はそなたに任せる!」 「主城とは殿が住むのでは?」 「わしは蝦夷地に赴くつもりじゃ!奥州はおぬしと浅井殿、朝倉殿で切り盛り致せ!」 「分かりました…が殿はやはり…」 「わしは蝦夷地に赴くつもりだ!一豊と若い衆を連れていく」 「兵の方は?」 「長槍隊を千」 「千では少ないのでは?」 「戦に行く訳ではないから充分だ!」 「畏まりました!」 「龍興には苦労を掛けるが、宜しく頼むぞ!」 「苦労をなどと…御言葉痛み入ります」 「暫くは内政だ!」 「御意!」 三日後に藤沢家の家臣らが集められて、奥州の経営は斎藤龍興、朝倉義景、浅井長政に委任される事を伝え、匠は蝦夷地開拓に向かう事を皆に伝えるのであった。 ざわつく家臣らに匠は 「これからは平和な世の中となる!戦がなければ死ぬ者も居ないが、その分人が増えていくのだ!開拓はその増えていく者たちの為のものである!平和な世の中になっても、飢えて死んでは意味がない!」
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