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「遊斎、おぬしには悪いがもう少し働いて貰うぞ!」
「政は執政殿がおります」
「信忠は良くやっておる!」
「他に…拙者に何を?」
「おぬしには、下々の者の声を集めわしに上げて欲しいのだ!」
「調査をせよと?」
「いや、そうではない!調査は既にさせている」
「ならば何を?」
「下々の者の不満などをおぬしの意見としてわしに上げて貰いたいのだ」
「意味が分かり兼ねますが…」
「下々の不満を直接にわしが聞き入れると後々が面倒になるでな!おぬしの意見としてわしが聞き入れれば皆が納得をするのじゃ!」
「下々の者からすればその方が関白様を慕うのでは?」
「わしに直訴しに参る者が大坂に溢れても困る!筋目もおかしくなるであろう?」
「確かに…ですが、何故拙者なのでござる?」
「無役で民からも慕われておるからじゃ!生え抜きの家臣で無役はおぬししか居らぬでのぉ?」
「…」
「おぬし!名を譲り隠居を考えておったのだろう?はっはっはっ!」
「近々と考えてはいましたが…そもそもそう言う約束では?」
「ならん!せめて後十年はわしに仕えよ!」
「楽隠居はさせて貰えませぬか…」
「だから!後十年じゃ!十年後にはわしも隠居をする!それまではわしに付き合え!」
「致し方ありませぬ…後十年でござるよ!」
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