清須の町にて…

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扇子や団扇は竹細工に慣れた者たちが多数居るので可能と踏んだ。 匠は見本として作って来た扇子と団扇を皆に見せる。 集落の皆での相談が始まった所で匠は陶芸の工房に向かい土をこね始める。 もの凄い早さで菊練りを行う匠… ろくろを足で器用に回しながら器を作り始める匠 様々な形の茶碗と茶入れと壺を作っていく匠 匠が作った陶器には藤匠と名が入っている。 木のへらで入れるのだが、まるで筆で書いたかのように入れるので、誰にも真似が出来ないのである。 匠の作った陶器は安くても百貫の値がつくのだ! 集落の者たちが作った物には皆値がついている。 しかし匠が作った逸品は値がついていないのだ! 相手が値を勝手に言ってくるのである。 「この茶碗を幾ら幾らで譲って欲しい!」 そこで小兵衛はにこりと微笑む すると相手が勝手に値を上げていくのだ! 小兵衛はニコニコと微笑み続ける… 相手は勝手に値を上げていき、最後には 「幾ら幾ら!これでなんとか頼む!」 そこで小兵衛は 「ありがとうございます!」とにこやかに言うのである。 最近は商家たちのたしなみとして茶道が定着しつつあり清須の豪商は勿論、津島や熱田の商人まで藤徳屋に茶器を買い求めに来るようになったのである!
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