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徳兵衛は近隣の村にもじゃがいもや薩摩芋の種芋を配りながら、口減らしの子供たちを引き取り職の面倒を見てやる。
今では徳兵衛は東尾張ではちょっとした顔役である。
困り事や水争いなどの仲裁も買って出て上手く収めている。
東尾張の百姓たちからは、「困った時は徳兵衛さんを頼れ」とまで言われているとの事
集落の細々とした事は徳兵衛の長男の徳一が仕切るようになり徳兵衛は忙しく動いている。
徳兵衛にとって藤沢匠は最早慕うべき主である。
やがて春が来た矢先に、その藤沢匠は織田家に仕官を果たした。
とは、言っても足軽からのスタートである。
足軽長屋に居を移した匠
やる事と言えば三日に一度清須のお城で訓練を行う位である。
暇を利用し匠は藤徳屋や甚八に指図を与えたり、何かしらの創作を行うのであった。
徳兵衛始め匠を主と仰ぐ者たちはそんな匠が不思議でならないのである。
匠の稼ぎ出す銭は最早、豪商並みかそれ以上であるにも関わらず…月に一貫の銭で織田家に雇われているからだ。
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