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「なぜ、だんまりなのだ!別におぬし等を咎めておるのではないぞ?」
「おっ畏れながら…」
「おっおい!」
「何か言っては…まずい事があるのか?」
「あのぉ…実は…」
足軽たちは匠に首を譲られた事を正直に話始めた…
匠は分業制だから何らやましい事はないと足軽たちに言っていたので、その事を含めて…
「なるほど…その藤沢と申す者が敵を倒しておぬし等がとどめを刺し首を取り、その間、敵に襲われぬように回りの者が警戒にあたるから全員で首を取った事になると…その者は申すのだな?」
「はっ!」
「して、その藤沢なる者の名が記されていないのは、どう言う事じゃ?」
「藤沢様はわしは要らぬ故、皆で分けよと申されますので…」
「その者は手柄を要らぬと言うのか!?」
「はっ!」
「なんと…」
「なので…我らは藤沢様には世話になりっぱなしで…」
「なりっぱなしで…と言う事は一度や二度ではないと言う事か!?」
「はっ…わしはもう五度目でして…」
「わしは八度目です…」
「五度八度と…では、美濃に出陣するようになってから毎回なのか?」
「そう言う事でございます…」
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