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勝家は腕を組んで、難しい顔をしながら歩いていた。
武功をあげてこその武士…
ましてや…あれほどの剛の者ならばもっと出世して然るべきであろうものを…
軍を指揮する者ならばいざ知らず…
一兵卒の分際で手柄を皆に分け与える…
勝家には全く理解が出来なかった…
その者はうつけ者なのか?
勝家は信長の居る居間へと歩きながら…考える
「信長様…調べて参りましたが…拙者にはどう裁けば良いものかと…」
「申せ!」
勝家は足軽たちから聞き取った事を信長に話す…
信長も腕を組み考え込んでしまった。
その藤沢なる者の言う事もある意味で正しい
だが…手柄首の譲渡や分配などと言う事は聞いた事もない…
兎も角…理由が分からない…
「権六はどう思う?」
普段人に意見を聞く事など無い信長が勝家に問う
「拙者には…考え及ばぬ事でござれば…」
「うむ…」
手柄首は手柄首としてそこに価値がある故に起こる事柄なのである。
誰が取ったか?
長槍隊の者どもが協力して取った物を分ける事に関して言えばそれは正しいのだ…
しかし…討った者は?
となると…一番槍以外の武功は中々評されないのが現実である…
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