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「たまには気晴らしに遠乗りなどして来てはいかがですか?」
口を尖らせたまま言う帰蝶の方
「むくれるなと言うておる!お濃…」
「ならば殿様におねだりがあります」
「ちっ…何だ!?」
「嫌なら良いのです…」
横を向く帰蝶の方…
信長は起き上がり帰蝶の方を向く
「たわけ!冗談だ!お濃がおねだりとは珍しくての?言うてみよ!」
「なんでも最近町外れに藤徳屋なる商家が出来たと耳に致しまして」
「藤徳屋?…あぁ!わしの耳にも入っておるわ!何でも良い品を揃えておると聞く!」
「そのお店の奥の間にそれは素晴らしい着物があると言うのです」
「素晴らしい着物?」
「出入りの商人から聞きましたが、織田家の宝ではないかと噂されているそうなのです」
「我が家の宝だと!?」
「店の主に売り物かと聞くと…このお着物は主の来店を待っていると言うのですよ!」
「なに!それは面白い!ならばわしが行って召し上げてやろうか!?」
「私もお供して是非そのお着物を見てみたいのです!」
「良し!久し振りに城下を見て回るか!お濃!」
「まぁ!嬉しい!」
こうして信長は帰蝶とともに城を出て藤徳屋に向かうのであった!
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