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「おぬしの長だと?おぬしがこの店の主ではないのか?」
「私はこの店を任されているので主でございますが、私の上には長がおります」
「子細を話せ!」
「先ずは客間の方でおくつろぎになって下さいませ」
「うむ…」
奥の間が豪華な客室になっており、一段高い上座の奥に…二着の着物が飾られていた…
「どうぞ、上座の方へ」
信長と帰蝶は上座の着物に目を奪われ動かない…
「殿様…」
「これは…」
「我が長が仕立てたお着物にございます」
「信長様に忠義を尽くす者でございます」
「それで…この着物を上座の奥に…か?」
「はい」
「その長に会えるか?」
「それは我らの長としての面会でございますか?」
「無論」
「ならば大丈夫でございます」
「違う立場があると言うのか?」
「それは、直接長に…」
「そうか…」
小兵衛は、匠が一夜の宿を集落に借りに来た所から話を始めた。
無論匠の名は伏せてある。
次々に集落に恩恵を与えてこの商家は集落で興した商家であると説明する
「まるで…物語だのぉ」
「御伽話のようですわ!」
「そして、その者がわしを慕っておると申すのか?」
「左様でございます」
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