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「待たれよ!」
「はっ!」
「そなたの名を聞いておきたい!」
「藤沢匠と申します」
「そなたが!」
「もう宜しいでしょうか?」
「…うむ」
匠は柴田勝家に一礼しその場を去る。
勝家は号令を掛け清須城へと退却した。
勝家は清須城に着くと直ぐ様信長に報告に上がる
「この度は…誠に申し訳なく…」
「そうか…失敗したか…」
「この責任は我にござる!」
「権六!腹を切る事許さぬぞ!」
「拙者は大将でありながら…退却の指図もせずに…数多くの者を犠牲にしてしまいました…」
「わしが思うたより、犠牲者も損失も少ない!」
「信長様…それは…」
勝家は隠す事なく、藤沢匠の活躍を信長に報告する。
「で、あるか!」
「あの者の機転なくば、被害は絶大でございました…」
「権六ともあろう者が、その借りを返さずに腹を切ると申すのか?」
「……」
「足軽に借りを作り、そのままにしておける程に掛かれ柴田は衰えたのか?」
「くっ…」
「あの者はその内に頭角を現すであろう!その時にこそ!おぬしが力を貸してやれ!良いな!」
「御意のままに…」
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