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読書をしている半兵衛だが、頭の中はあの屈辱的な龍興の言葉と態度…そして貶すような視線…
武士として…恥をかかされた事が…どうしても腹に据え兼ねていたのである…
毎日を悶々とした心を鎮めようと…書物を開いてみるが…
心は…書物に傾かない…
「竹中半兵衛重治」と言う一個の武士がどれだけの事が出来るのかを知らしめなければ気が済まない…
ある日の出来事…
とうとう…墨俣の地に織田方の城が築かれたと言う報が舞い込んできたのであった…
蟄居謹慎していても情報だけは耳に入るよう手配してあった半兵衛…
一瞬…立ち上がり…またその場に座る…
とうとう…墨俣の地を取られてしまった…
斎藤家にとって…稲葉山城にとって…墨俣の地がどれだけ重要なのか…
半兵衛は天井を見上げた…
私は…才を発揮する機会すら与えられずに…
このまま埋もれてしまうのか…
私ならば、この危機を脱する策を考え出す事が出来るのに…
私ならば!斎藤家を強い大名にする事が出来るのに…
私ならば!佞臣どもを排除し斎藤龍興を担ぎ京へ向かう事も可能な筈…
半兵衛は膝の上で拳を強く握り締める…
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