匠の本質…

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「ここの角度が少し違います!」 「うむ…どちらでも良いのではないか…」 「信長様の住む部屋の飾り金具故、細部にまで拘るだろうとお聞きした次第ですが…」 「うむ…」 「ならば、完成予想図をみて気に入らぬ点はございませぬか?」 「…特にない」 「分かりました!ではそのように取り掛かります!」 「頼むぞ!」 「ははっ!」 こんなやり取りがもう何度続いたのか… 匠の力の入れ様は…半端ではない… 武家屋敷も粗方が完成しつつある現状… 信長からすれば、早々に城を完成させたいのだが… 匠に言わせると… 「ただの城ならば、直ぐに作る事は可能ですが、この城は全国に織田家の力量を示す城なり!」 と言う… 隙あらば…と虎視眈々と目を光らせている他国の大名が、この城をみて…攻略を諦めるような城にしなければ意味がないと言う。 信長もその意見には同意だが… ここまでの拘りを匠がみせるとは…正直思わなかったのである。 確かに、言うだけあって匠の腕は一流…いや名人と言っても差し支えない程である。 ただの木の板が下書きも無しに彫られていく様をみて信長は唸った程である! 他の職人たちも、匠の事を大棟梁と呼び何彼と指示を仰いでいる様をみて、その的確さの素晴らしさに舌を巻いた。
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