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とある日…
信長の元に一人の武将が訪ねて来た。
信長の正室、帰蝶の方に縁連なる者で、名を「明智光秀」と言う者である。
上座から遠く縁側に近い位置に平伏する明智光秀…
「明智とやら、そこでは遠い故もそっと近う」
「はっ!」
拳一つ分前に出る光秀…
「おぬしは耳が遠いのか?近う寄れ!」
「ははっ…」
にじり寄る光秀…
畳横一畳分前に這いつくばるように前に出る光秀…
「おぬしは足が悪いのか?ならば、わしが寄ろう!」
「いいえ…某が…」
光秀はすくりと立ち上がり信長の前に座り平伏する。
「…うむ…して!わしに耳よりな話とは?」
「畏れながら…先ずは美濃攻略おめでとうござります!」
「うむ…」
「織田家の御威光は正に日の出の勢い!最早日の本一と言うて然るべきお家でございましょう!」
「明智とやら…そなたは世辞を言いにわざわざ越前から来たのか?」
「…あっいや!さにあらず!」
「前置きは良い!」
「はっ!越前に居られます将軍の舎弟様の事でござれば!」
「将軍の舎弟?」
「都落ちして早二年…越前の太守、朝倉様は上洛の意これ無し…誰か頼るに値する者はおらぬかとの事にて、今は破竹の勢いの織田様の名を挙げました次第にて!上洛の暁には織田様を副将軍にとの事にございます!」
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