招かざる客か…歓迎するべき客か…

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「要はわしに上洛の手助けをせよと申すのか?」 「御意!」 「手助けと言うても全て此方持ちの上洛であろう?将軍と言うても今は名ばかりの事…わしに利はないと思うが?」 まさか…難色を示すなどと思わなかった光秀… 尾張から美濃へ… 出来星の織田家ならば、次は地位や名誉を欲しているであろうと読んでやって来た光秀… 信長の予想外の反応に次の言葉が見付からずにいた… 信長の思考は、すっかり匠に感化されており、戦はせずとも隣国を従える事は可能だと言う認識が強い。 岐阜の開発も落ち着きをみせこれから強兵をと思っていた矢先の事であるので、信長は出兵はしたくないのが本音であった。 また、仮に織田家が上洛を果たすと…隣国の武田家が騒がしくなると予想出来るのである。 今は、婚姻と事ある毎に貢物をして御機嫌をとっているのである。 甲斐、信濃の大名、武田信玄、戦国の世にあって、信長が敵に回したくない大名であり無類の戦上手である! 甲斐の兵は一人で尾張兵三人分に相当すると言われる程に武田家は強いのである。 何ら利の無い上洛をして、甲斐の虎を起こす事はしたくないのである。 いつか!戦う日が来たとして…その時には武田信玄がこの世から去っていて欲しいと切に願う程である。
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