招かざる客か…歓迎するべき客か…

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信長の元には匠が藤徳屋から報告される情報が上げられている。 近々、武田家は駿河へと攻め込む事も既につかんでいる。 織田家の同盟国である三河の徳川家と共同戦線を張るようである。 武田家は駿河を、徳川家は遠江を同時に攻めると言う作戦である。 信長にとって同盟国の徳川家が大きくなる事は良い事だと思っている。 徳川家当主の徳川家康は、信長を恩人と慕い信長も三河の弟と可愛がっている間柄だ。 東への備えとして徳川家が在れば、信長は西だけに専念出来るのである。 更に言えば、ゆくゆくは徳川家と武田家が睨み合う形となり、両国と同盟関係である織田家は物を言える立場となる事も計算に入れているのである。 今はまだ、武田家の武力には到底及ばぬであろうが、三年後、五年後であれば、相手になれる程に向上しているだろうと信長は読んでいる。 「畏れながら…信長様に措かれましては…天下に野心はござらぬのでしょうか?」 「天下に野心?将軍の舎弟の上洛の件とどう繋がる?」 「舎弟様が将軍となった暁には将軍家を後ろ楯として天下の大名たちを従える事も可能かと存じますが…」 「おぬしは、将軍の舎弟を飾り物にしてわしに実権を握れと申すのか?」 「それならば、利はございましょうや?」
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