招かざる客か…歓迎するべき客か…

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下手をすれば…骨肉の争い、お家騒動に発展しかねぬ事柄だけに慎重を要するのである。 信長自身…骨肉の争いの末に織田家を継承したので尚更に頭を痛めているのだ。 「おぬし…何ぞ良い知恵はないか?」 「信忠様の今後については多少考えがござりますが…」 「何っ!」 「差し出がましいと思うたので…黙っておりましたが…」 「わしはおぬしを買うておる!差し出がましいなど思うか!たわけめ!」 「はぁ…」 「おぬしの存念を述べよ!」 「信忠様の御器量次第にござれば…」 「勿体つけるなっ!」 「では!拙者が信忠様の教育係となり、ゆくゆくは織田家の執政の職を与えてはどうかと…」 「おぬしはまた…」 「親子二人三脚が望ましいのではと考えまするが…そして、帰蝶の方様のお子が当代となりましたら後見職とし、織田家の切り盛りをして頂けましたならば、八方丸く!」 「うむ…おぬしはどうなる?」 「拙者は、生来の怠け者でござれば…」 笑いながら言う匠… 「誠に…おぬしは欲のない…」 「拙者の欲は大きすぎて…近くからは見えぬだけでござります…」 「本日より!信忠をおぬしに預ける!足らぬ器ならばそれなりに対処する!隠さずに申し出よ!」 「畏まりました!」
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