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「目覚めるのです」
また出た。筋斗雲も復活している。
どうやら夢ではなさそうだ。夢と現実の違いくらい分かる。
「もう起きてますよ。それで、功績って何です? 何かくれるのですか?」
「あなたの心を覗かせて頂きますね……音楽……技術……悪魔?」
少しずつ鼓動が加速していく。
深層意識を読み取ったのか? 世界のどこかに、レグバと言う悪魔が存在する。魂の契約を結べば、神的な音楽の才能を与えてくれるらしい。そんな話に魅了されていた私は……
「技術を磨く為の楽器が欲しいのですね」
……違った。でも、楽器は欲しい。
タコはタコ型タブレットを取り出し、何かを調べ始める。
「プリンス狼歩さんに似合うのは、ピアノやヴァイオリンが良さそうですね。あっ、幾つかヒットしましたよ。えっと、ストラディバリウス。価格は……数千万から数億円!? なんだ、この悪魔的な価格は!!!」
タコは墨を吐いて気絶した。
気絶したタコと、目を開けたまま眠る首里が、雲に乗ってプカプカと浮いている。シュールな光景だ。
「……はっ!? あまりにもの悪魔的な価格に気を失ってました」
「あの……別に楽器じゃなくても……」
「待って下さい。格安のピアノかヴァイオリンを……玩具でも数千円以上するだと!? ピアニカなら? やはり数千円以上しますね。あっ……ピアニカの息を吹き込むパイプ(ホースタイプ)単体なら360円……これならば……」
神が可哀想に思えてきた。
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