名前のない出会いに感謝を

第３章

聖は好きだと言ってくれたというのに、衣千子は、自分が酷く汚く醜い店にいた喧嘩カップルと同じに思える。
「聖、ごめん。傷つけてごめん。嫌いになったら、殴っても離婚でも、気がすむようにしてくれていいから…。」
ようやく、気が付いた。
私は、ずっと聖のことが好きだったようだ。
聖は私の陽への恋心を気付いていたみたいだけど、聖に対しての恋心は気付いてくれているのだろうか。