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ヘラヘラ笑う陽に慣れて来た頃。
カフェに不良がきた。
ライブハウスを兼用すると、ときどき悪ぶっている学生がやってくるのだ。マスターも良い年だから、きっと舐められているのに違いないと、衣千子は思っている。
陽は、運がいいのか悪いのか、まだ来ていなかった。
不良は高校生くらいで、どう見ても地毛ではない赤や青の髪色で、信号機を彷彿させた。
衣千子は、マスターにバイトは歌うだけで接客はしないと釘をさしたことがあるから、それまで待機中。
マスターは顔色も変えず、ガムをくちゃくちゃ汚く咀嚼する不良達にも、丁寧な接客する。
追い出さないあたりは、流石、商売根性がある。というかマスターは、その昔、札付きの悪だったらしいから、その辺のヒヨッコなんて眼中に無いだけかもしれない。
この不良達は、分かっているのだろうかと、衣千子は首を傾げるが、どうでもいいかと考えるのをやめた。
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