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Shit!
あと、少しだったのに……
類は俯いて拳をギュッと握り締めてから立ち上がると、完璧な笑みを浮かべた。
「さっき、ミューと飾ったんだ。綺麗でしょ?」
「あぁ。クリスマスなんて気にしたこともなかったが、ツリーがあると気分が盛り上がるな」
「よ、義昭さん、ご飯は?」
美羽はツリーへと歩み寄る義昭とは反対に、キッチンへと足を向けた。
「いや、遅くなりそうだったからコンビニで買ってきたものを会社で食べたから、大丈夫だ。
今日は疲れたから、風呂に入ったら寝るよ」
「あ、私ももう、休もうかな。今日は……疲れちゃったし」
美羽も義昭に便乗するようにそう言うと、そそくさと立ち去って行った。
ひとり残された類はギリッと歯噛みした。ツリーに飾られた美羽のグラスボールを掴み、ギュッと握り締める。
今度は完璧に、堕としてみせる。
類の指で弾かれたグラスボールは、大きく揺さぶられた。
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