別れと再会

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 夕方5時5分に成田国際空港を出発したANA航空は、その日の午前11時にロサンゼルス国際空港(LAX)に到着した。10時間という長時間のフライトを経ながら時間が逆戻りするという感覚は、ずっと慣れることはないだろう。  飛行機を降りて通路に踏み出すと11月だと思えない陽気な空気に包まれ、ここが外国であることを肌で感じる。  Tom Bradley国際ターミナル(ターミナルTB)の到着ゲートを抜けて長い通路を歩き、エスカレーターで下りていくと、そこには遊園地のアトラクション待ちかと思われるほどの長蛇の列が並んでいた。列は2つに分かれており、美羽は義昭に従って緑のESTAゾーンに並ぶ。  乗り換えのフライトの客が呼ばれ、慌てて荷物を抱えて去っていく。ベビーカーに乗った赤ん坊がむずがって金切り声をあげ、母親が取り上げてあやす。列に並ぶのに飽きた子供たちが走り回り、それを止める親たちの怒声が響き渡る。まさにカオスだった。誰もが長時間フライトの疲れやイライラを露わにしていた。  ここには入国審査の為の機械、APCが30台ほど設置されている。そこでパスポートをスキャンし、指紋の採取や顔写真撮影、税関申告書を画面で入力すると、出力された紙を受け取る。そして今度は審査官を通じての入国審査の為、再び長蛇の列に並ばされる。  美羽たちの受け取った紙には○印がついており、早めのレーンに並ぶことが出来たが、もし×印がついていれば別のレーンへと並ばされ、ここで問題があれば更に移民局へと送られる。  アメリカの入国審査が大変だとは聞いていたが、こんなにも時間がかかるとは思いもしなかった。
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