虐げられる性

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 美羽はベッドで義昭に抱かれながら、溜息を吐いた。  夫はセックスの仕方をまるで分かっていない。どこに女性の性感帯があるのか、どんな風にすれば濡れるのかなんて、気にしたことなどないのだ。セックスはただ単に自分の欲求を満たすためだけのものでしかない。  苛々を溜息で訴えてみたところで、それは義昭にとって切ない吐息としか感じていないのだろう。  義昭は、セックスに対して潔癖なところがあった。それは、初めて躰を重ねる前に「もちろん、処女だよね?」と聞かれた時に理解していたはずだった。当然、義昭は童貞で、恐らく風俗すら行ったことがなかった。  最近は、行為の際に口づけすら交わさない。口内には何憶もの細菌がいて、キスを交わすことにより……そんな説明を聞かされた時点で、夫への愛情は半減した。  力任せに揉みしだく胸の感触に、思わず顔を顰める。今は生理前で胸が張っているので、敏感になっていて痛いのだ。こんな風に揉まれて気持ちいいわけがない。一番感じる胸の先端のピンクに染まった部分は申し訳程度に摘まれ、軽く舐められ、儀式は終わる。  全く濡れていない下半身へと指が下りていくと、美羽の憂鬱度は更に増す。  花弁を広げ、指をやたらに動かすものの、肝心な部分を掠めてしまう。それは焦らしなどというテクニックではなく、美羽がどこをどうすれば感じるのか分かっていないだけだ。  自然に見えるように腰を捻り、敏感な部分に擦り付けようとしても、義昭の指がすぐに動いてしまう。まるで自分がテクニシャンであることを誇示するかのように、乾いた蜜壺に指が捻じ込まれて高速で抜き差しされ、摩擦の痛みに顔が引き攣る。  満たされない焦燥感が、不満が募り、それは少しずつ諦めと憎しみに似た怒りとなって胸の内に巣食う。
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