別れと再会

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 ようやく審査官の前に辿り着くと、質問には夫である義昭が全て答えてくれた。こんな時は頼もしく感じる。  1階へ降りて荷物を受け取り、税関を通ると、ようやく到着ロビーへと出た。  お昼をとうに過ぎていたが、ランチを食べている余裕はない。ここからタクシーに乗って直接葬儀場へと向かうことになるため、既に黒いワンピースを身につけていて良かったと美羽は思った。  だが、大変なのはこれからなのだと思うと、先ほどの疲れに加えて気が滅入ってくる。 「通夜には間に合わなかったな」  ぽそりと零した義昭の言葉に、美羽は静かに頷いた。  彼の説明では、アメリカでの葬儀もViewingと呼ばれる通夜とMisaと呼ばれる葬儀に分かれており、通夜の翌日に葬儀を行うのが一般的らしい。  
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