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「ルイ……」
それを発したのは、美羽ではなく、義昭の唇だった。
その言葉に違和感を感じている間もなく、次の言葉が紡がれる。
「ルイ。僕のこと、覚えているか?」
義昭さんは、類を知っていたの!?
今度は美羽が驚愕の表情で義昭と類を見比べた。大きな不安が黒雲となり、急速に美羽の胸の内に広がっていく。
だが、類の方は怪訝な表情を浮かべて義昭を見つめた。
「ごめんなさい……覚えがないんだけど。
どこかで会ったことありましたっけ?」
類には義昭に面識がないと知って安堵しつつも、美羽の緊張感が解けることはなかった。ピリピリと肌が毛羽立ち、ピンと張った緊張の糸は限界まで張り詰めていた。
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