虐げられる性

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 そんな時、美羽が思い描くのは、決まって類とのセックスだった。  焦らすようにして唇の輪郭を辿られ、たっぷりと濡らされたところで吸い付き合う唇の柔らかい感触。舌を絡め合い、互いの口内を探り、擽られると背筋に何本もの線が駆け巡った。飽きることなく繰り返される口づけに、やがて唇がぽってりと赤みを帯びていき、気持ち良さが何倍も増す。本当に溶けてしまうのではないかと、錯覚さえ覚えた。  白く細い華奢な手は美羽の敏感な場所を知り尽くしていて、焦らしが与えられる時間も、欲しいものが与えられるタイミングも完璧で、美羽自身よりも心得ていた。類に触れられた部分からビリビリと肌がさざめき、熱くなる。躰の内奥から濃厚な蜜が溢れ出し、自分が女であることに幸福を覚える。  もう類が胸の膨らみに触れる頃には、美羽の期待は膨らみきっていて、触れられる前に乳房の先端の蕾は紅く色づき、硬くなっていた。それを綺麗な長い指で弄びながら「可愛い……」と、クスリと笑みを浮かべられると堪らなくなる。膨らんだ唇に挟まれて揺らされるだけで、下半身がジンジンと疼いた。吸い付かれて絶頂に達することもあった。  類の指が美羽の肌をなぞり、くびれから臍、そして薄い茂みを掻き分ける頃には、べっとりと手に愛蜜が絡みつくほどになっていた。それを揶揄(からか)う時の意地悪く細められた瞳を思い出すと、胸がキュンと切なく震える。  類、欲しい……  背徳と欲望の深みに堕ちていく感覚が、興奮を呼び醒ます。 「ウッ、ハッ、ハッ、ハッ……」  現実には、義昭が美羽の上で前後運動の真っ最中だった。  まるで盛りのついた雄犬のようにガクガクと腰を振る様が、瞳を閉じていても伝わってくる。義昭のパターンはいつも決まっていて、おざなりな前戯、正常位、後背位、そして最後に正常位でフィニッシュする。  美羽のペースで進められる騎乗位や座位でなら、あるいはオーガズムを得られるかもしれないと、体位を変えてみようと試みたこともあったが、義昭は女性に主導権を握られる体位を嫌がり、いつもその体勢に入ろうとすると無理やり修正させられた。  美羽は、義昭とのセックスで絶頂に達したことは一度としてなかった。  妄想から現実へと強制送還させられた美羽は、激しく躰を揺さぶられながら低く呻いた。
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