別れと再会

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 葬儀が進むにつれ、父との思い出話が語られ、参列者の中から啜り泣きが聞こえてくると、本当に父を失ったのだという哀しみがいよいよ現実のものとして押し寄せ、美羽の心が大きく波立つ。  再びオルガン演奏が流れ、牧師が祈りを捧げて全員で賛美歌を斉唱する頃には、美羽は父との楽しかった思い出に浸り、涙を流していた。  祭壇の棺が開けられ、先ほどの入場の時のように、牧師を先頭にして棺に向かって歩く。異なるのは、美羽たちの後ろにも一般参列者がずらっと並んでいることだった。類が献花を捧げると、チラッと振り返る。頷くと、一歩前に踏み出した。  お父、さん……  棺に横たわる黒いスーツを着た父は、美羽の記憶にある姿とは随分違っていた。頬がこけ、目の下が落ち窪み、白髪もところどころに生えている。それでも、これが父であることに変わりはなかった。  お父さんっ…… 「ウッ……ッグ……ウゥッ……」  献花を握る美羽の手が震え、視界が溺れていく。 『美羽と類は、大切な宝物だよ。二人とも、愛してる……お前たちの母さんの次に、ね』  そう微笑んだお父さんはもう、いない。  いなくなってしまったんだ……  
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