悪魔の棲家

4/42
前へ
/1872ページ
次へ
 白いポーチの扉を抜けると庭があり、フラットな石畳の両脇には綺麗に短く刈り込まれた芝が広がっている。真っ白な壁にライトグレーの屋根の二階建てのモダンな邸宅は、父と息子の二人暮らしにはかなり大きく感じる。  ダークブラウンの重厚な玄関の扉には鍵穴がなく、壁に番号のボタンがついた黒いカードリーダーのような機械が埋め込まれていた。そこに類が手を翳し、4桁の暗証番号を押すと扉がガチャッと鳴った。  え、何これ……すごいシステム。  美羽が思わず見入っていると、類が扉を開けた。 「遺品整理とかちゃんと出来てなくてごちゃごちゃしてるけど、あがって」  中に入るように促され、玄関へと入る。玄関は日本のような段差がなくフラットで、磨き上げられた白い床から直接フローリングの廊下へと繋がっていた。 「お邪魔します」  靴を脱いであがると、その先はゆったりとしたリビングルームが広がっていて、左側には階段が上と下に伸びていた。地下もあるらしい。  日本とは違う広々とした間取りと高い天井に圧倒され、美羽は思わずぐるっと見回した。革張りのカウチがL字型に置かれ、重厚なガラスのローテーブルが置かれている。前方の壁にはスチールの枠に囲まれたモダンな暖炉が埋め込まれていた。最近日本でも流行っている薪を使わないバイオエタノール暖炉だ。温暖なLAでは機能性としてよりもインテリアを重視して置かれているのだろう。その上には60インチはあると思われる大きなスクリーンのTVが掛かっていた。 「今、取ってくるから、そこで適当に座ってて」  類がそう声をかけ、階段を上っていった。
/1872ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7121人が本棚に入れています
本棚に追加