虐げられる性

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「ウッ」  そう呻いてからすぐ、義昭のものが美羽の中から抜かれた。余韻を味わうことなど、まったくない。  ゴムを外して縛ると寝室の隣の浴室へと向かう。ゴミ箱に捨てた後、神経質に手を洗う音が寝室にまで響いてくる。それは、この交わりが汚れたものであったことを美羽に感じさせ、心を曇らせる。  類とは、いつまでだってベッドに寝転がってじゃれあっていられた。飽きることなくキスを交わし、互いの肌が恋しくて、いつまでも離れたくなくて抱き合っているうちに、欲情が再び熱を取り戻し、そのまま次の交わりを迎えることも度々だった。  義昭は浴室から出てくると素早く夜着を身につけ、ベッドに横たわる美羽を見下ろした。 「おやすみ」 「おやすみなさい」  挨拶を交わすと、義昭は自分の寝室へと戻っていく。自分ひとりのベッドでないと眠れないのだ。セックスの為だけに美羽の寝室を訪れ、事が終わるとさっさと帰っていく。  最初はそんなやり取りを寂しく思っていたはずなのに、今では扉が閉まる音を聞くと安堵の息を吐くようになっていた。  息を潜め、次の物音に耳を澄ませる。義昭が、自分の寝室の扉を閉める音を。  カタンと扉が閉まる音を確認すると、美羽は寝室のサイドテーブルの引き出しを慎重に開けた。ジュエリーボックスが置かれたその奥にしまってあるものを取り出す。  小型の電子マッサージ器。もし義昭に見つかってしまっても、言い訳出来るようにと購入したものだった。  事が済んだ義昭は、決して美羽の寝室に戻ってくることはない。  そう分かっていても、鍵をかけていない状況に、不安と怖さが募っていく。けれど、そのスリルもまた、興奮の材料の一部となっていた。
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