7121人が本棚に入れています
本棚に追加
けれど、紙袋には包装用のティッシュがたくさん詰められていて、中身が見えない。
「開けてみて、もし美羽が気に入らなければ、ここに置いてっていいから」
類にそんなことを言われ、ますます気になった美羽はティッシュを取り除いた。そこには、小さな箱がいくつも入っている。その一つを取り出し、包装紙を開けると、そこにはさくらんぼのデザインのネックレスが入っていた。
「可愛い……」
他にも開けていくと、指輪やブレスレット、ピアス等のアクセサリーが入っている。どれも可愛らしいデザインのものばかりだった。思えば美羽は、幼い頃から誕生日にはブローチやヘアアクセサリー等、身につけるものを父からプレゼントされていた。離れていても、父は自分を忘れることなく、誕生日には密かに祝ってくれていたのだと思うと、美羽の胸が熱く震えた。
「……父さんは、毎年ミューの誕生日にはプレゼントを買ってた」
類の『ミューの』という言葉に、引っ掛かりを覚える。双子である自分たちは同じ誕生日なのだから、普通なら『僕たちの』というのが自然なはずなのに。それでも、美羽はそれ以上関わりを持ちたくなくて、違和感を心の奥に押し込め、笑顔を見せた。
「ありがとう。大切にするね……それじゃ、そろそろ行こうか」
ふと義昭に目を移すと、カウチに横たわって眠っている。美羽は顔を引き攣らせ、義昭の元へと行き、肩を揺さぶった。
「義昭さん! 義昭さん! ホテルに帰るから……」
お願い、起きて……早くここを出たい。
最初のコメントを投稿しよう!