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夜に溺れて
部屋の扉を閉め、鍵を掛けると昼間の仮面が剥がれ落ちる。
長い睫毛を揺らし、潤んだ瞳の視線の先には……誰もいない。
けれど、感じる。
躰の深い奥から、伝わってくる。
全身が火照り、頬が薔薇色に染まり、自然と口元に笑みが浮かんでくる。
早く、類の『声』が聞きたい。
その『感触』を感じたい。
視界には映らずとも、美羽の脳裏にははっきりと類の姿が映し出されていた。
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