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肉と野菜が柔らかくなってきたのを確認して一旦火を止めてカレールーを入れ、かき混ぜる。その途端、食欲をそそるスパイスの香りが辺り一面に広がっていく。早く作らなくてはと制服にエプロンをかけて料理してしまったことを後悔する。明日は学校にいても、カレーの匂いに悩まされそうだ。
「こうしてるとさ、なんか新婚夫婦みたいじゃない?」
類が甘えて肩に寄りかかってきて、美羽は口角を上げて微笑んだ。
「そう、だね……」
目の前には、透き通るような肌理の細かい白い肌に、艶のある濡羽色の少し長めの前髪を揺らし、零れそうな程に大きなアーモンド型の黒曜石の猫目の瞳、ほんのりと色づいたピンクの頬、それよりももっと紅く濡れた艶のあるふっくらとした唇の、人形のように美しく均整のとれた顔立ちがあった。
それは、自分が最もよく見ている顔そのものだった。
まるで鏡に向かって答えているかのよう。
でも、私たちは別々の人間。双子の、姉弟なんだ。
ーー当然、この関係が赦されないものだとは知っている。罪悪感だって、背徳心だって、ある。
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