救いの声

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 義昭が圭子に向かって激昂する。 「おい、圭子! なんだその言い方は!!」 「だって、美羽さん、お父さんからたくさん遺産もらったんでしょ。こっちに少しでも分けてくれたっていいじゃない。  うちはパパの店の経営も大変だしぃ、お母さんの面倒だって見るんだからさぁ。それに、これからほのかも大きくなって色々とお金がかかるじゃない?  兄さんとこは共働きで子供もいないんだから、そんなにお金かかんないでしょ?」  圭子はタブレットに夢中のほのかを抱き寄せ、「ねぇー、ほのか♪」と同意を求めた。晃は下手に自分から関わることはせず、妻に全てを任せて気楽にビールを飲んでいる。  共働きで子供がいないからって、どうしてそれがお金を払わなくちゃいけない理由になるの?  こんな時にだけ母親面する圭子や、無関心を装いながらもしっかり金を狙っている晃に苛立ちを感じ、美羽は拳をギュッと握り締めた。
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