救いの声

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 羽田空港までは車で1時間ほどなので、たとえ途中渋滞につかまっても7時にここを出れば、10時15分発の福岡行きのJAL便に十分間に合うだろう。  明日になれば、隼斗兄さんが来てくれる。  あと1日。あと少しの辛抱だ……  美羽は、そう自分にいい聞かせようとした。  だが…… 「お願い……隼斗兄さん。  今すぐ、迎えに来て」    唇を震わせながら、そう告げていた。  明日の朝まで待てない……  もう、無理。  誰でもいいから、ここから逃げさせて。  追い詰められたギリギリの精神状態が、そんな言葉を美羽に言わせてしまっていた。
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