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「どうしてもってわけじゃ、ないけど……」
義昭が困ったように、美羽を窺い見た。美羽の眉がピクッと痙攣する。
う、そ……
ほん、とに?
美羽は戸惑いつつ、口を開いた。体温がほんのりと上がり、鼓動が小刻みに震える。
「今回の帰省は私と隼斗兄さんだけで行くから、義昭さんはお義母さんの側にいてあげて。きっと今は心細いだろうから、義昭さんがいてくれたら安心だろうし」
眉を下げて『仕方ない』という表情を作ったが、心の中では歓喜に沸いていた。
義昭が琴子と残ることになれば、暫くは義昭と離れていられる。これは、願ってもないチャンスだ。
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